こんにちは!
今回はジョジョの奇妙な冒険 第7部『スティール・ボール・ラン』の感想を語っていきたいと思います!
2004年から2011年までウルトラジャンプで連載された本作は、これまでのジョジョシリーズとは一味も二味も違う魅力に満ちていて、「ジョジョの集大成」とすら言いたくなるほどの完成度。
そして2025年、スティール・ボール・ランがついにアニメ化決定!!
もう一度この作品を読み返しながら、改めてどこが良かったのか、どこが気になったのか、そしてなぜ名作と感じるのかを、じっくり語ってみました。
※本記事には一部ネタバレを含みますのでご注意ください。
まずはここから!ジョジョ第7部『スティール・ボール・ラン』とは?
『スティール・ボール・ラン』(SBR)は、「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの第7部になります。舞台は19世紀末のアメリカ大陸横断レース。前作までの世界観を一新しつつも、スタンドバトルという独自のバトルシステムは健在。テーマはレースと人間の意志、そして正義と悪といった重厚なものにまで広がります。
この設定だけでもワクワクするんですが、実際に読んでいくと”旅モノ×バトル×陰謀×友情”という、いろんな要素が絶妙にミックスされた唯一無二の物語が展開されます。
よかったところ
ここからは、スティール・ボール・ランの「良かった!」と思った点を語っていきます!
ワクワク感の止まらないスタートシーン
1〜2巻の完成度が高すぎる!!正直、この漫画を超える導入を見たことがありません。
アメリカ大陸横断レース(総距離6,000km)、賞金5千万ドル(約60億円)という壮大な舞台設定に、魅力的すぎる参加者たち。自らの足で大陸横断を宣言するインディアン、謎に満ちた幸福男、鉄球を操る男、下半身不随の元天才騎手…。スティーブン・スティール氏の語り口もクセがありつつ惹き込まれてしまって、もうワクワクが止まりません!
第一レースはスタンドの概念がほとんど出てこないので「ジョジョを全く知らない」って人でも楽しめる造りになっているんですよね。
個人的ベストバウト:vsリンゴォ・ロードアゲイン
SBRの中で最も印象に残っているのがジャイロ&ジョニィ&ホットパンツ vs リンゴォ戦。
「銃」が存在感を失いがちな能力バトルにおいて、「マンダム」の6秒巻き戻しという能力設定は神がかっています。決着方法が「一発即死」の一点に絞られることで、まさに西部劇の決闘そのもの。手に汗握る展開ってこういうのだなと…。
7部の話の全体に言えることですが、「銃」の強さが損なわれておらず、スタンドとの融合が本当に見事です。他の部や漫画の能力対決と一線しているのは正にこの点と言えます。
最大のテーマ:正義とは?悪とは?
ファニー・ヴァレンタイン大統領は正直、ジョジョシリーズでも指折りの名キャラだと思ってます。スタンド能力も含めて「強敵感」はもちろんのこと、国への忠誠心、プライド、信念。ある意味主人公ですよね。最後の攻撃手段が「演説」っていうのも、もう最高に大統領すぎて痺れました。
そして何より、ジョニィたち主人公側が「悪」の立場になっているという構図が過去作と比べて本当に異色なんですよね。これまでの「正義VS悪」の単純な構造を壊しにきたのが7部。荒木先生の進化と挑戦が感じられて、改めてこの部の特別さを感じます。
ちょっと微妙だった点
応用力の高すぎる鉄球
ジャイロの鉄球、設定としては最高だしキャラとしても大好きなんですが…さすがに万能すぎたかも(笑)。肉体の平面化や硬化に水分抽出まで、黄金回転による鉄球破壊やレンズによる遠近感の混乱まで…。チート感がすごい!
そして対抗馬として期待していたウェカピポも、「左半身失調」以外は正直ジャイロの劣化版の印象で終わってしまったのが残念でした。もうちょっと差別化してくれたら熱かったのに…!
レースとバトルの割合
レースものとしての設定が最高すぎた分、途中からほとんどバトル漫画になってしまったのは惜しかったなと。体感で言うとレース1割・バトル9割ぐらい?
序盤のレース描写が本当に素晴らしかっただけに、「最後こそ熱いレース展開を…!」という期待があっただけにちょっと肩透かし。スタンド×レースの融合をもっと見たかった!結局しっかり活かせたのはジャイロとディエゴくらいでしたし、ポコロコの運も戦闘に活きてくれたらまた違ったかも…。
サンドマン途中退場論争について
ネットでもしばしば話題になる、優勝候補サンドマンの途中退場について。あの闇堕ち展開は本当に衝撃的でしたね。「別世界のサンドマン説」や「都合よく使い捨てられた説」など、ファンの間でも色々言われています。
でも個人的には、この展開はアリだと思っています。
サンドマンは常に合理的で、仲間に非難されながらも敵の本を読んだり、自分の走り方を最適化するなど、一貫した思考があるんですよね。だからこそ、大統領の取引に応じたのも筋が通っていると思えます。
金沢展でのメインビジュアルにも起用されていたことから、荒木先生自身もきっとサンドマンを大切に思っていたんじゃないでしょうか。
…とはいえ、「自分の脚でアメリカ横断を成し遂げるサンドマン」も見たかった…という気持ちはやっぱり残りますね。
総合評価
各項目の評価(5段階)
- 画力:⭐⭐⭐⭐⭐
─ 各コマがアート作品のような緻密さ。人物の表情やポージングも神がかっており、背景の構成力も抜群です。18~20巻の表紙は過去作でも珍しく、自分は好きです。 - キャラクター:⭐⭐⭐⭐⭐
─ ジョニィとジャイロというシリーズ屈指のコンビに加え、リンゴォ、Dioなど敵キャラも印象的。読者の記憶に残る名キャラ揃いです。 - 構成:⭐⭐⭐⭐
─ 物語の起承転結がしっかりしており、内容としてはかなり満足いく内容でした。ただ、巻数の長さを含め、後半どうしても中だるみ感が否めませんでした。 - 世界観:⭐⭐⭐⭐⭐
─ 戦闘面においては銃×スタンドがしっかり存在。戦闘部以外でも馬の描写、ジャイロとジョニィの旅感など、完璧ですね。 - バトルの面白さ:⭐⭐⭐⭐
─ 基本的に主人公2人の戦闘が多く、ピンチ→成長(あるいはジャイロの隠し玉)による逆転展開でけっこうワンパターン化。ただ、7部ならではの戦闘については1読の価値ありです。 - スポーツの面白さ:⭐⭐⭐
─ レース要素は序盤のみ強く、以降はバトル中心に。スポーツ漫画としては弱い印象ですが、序盤のレース部分はかなり安定度が高いのでこの評価にしました。
総じて、ジョジョシリーズの中でも特に完成度が高く、漫画作品としての質という面では頂点クラス。
ストーリー・作画・キャラ・テーマの全てが高水準でまとまっており、「ジョジョを一作品だけ読むならこれ」と胸を張って勧められる一作です。
まとめ
『スティール・ボール・ラン』は間違いなくジョジョシリーズの中でも“傑作”と呼べる作品です。絵・テーマ・キャラクター、どれをとっても非常にレベルが高く、特に「正義とは何か?」という哲学的テーマを重厚に描いた点は、大人向けの漫画としても強く印象に残ります。
一方で、“スポーツ×バトル漫画”としてのバランスにムラがあり、特に中盤以降の失速や戦闘の冗長さなど、気になる点もゼロではありません。
アニメ化ではこのあたりをどう演出・再構成してくるかが見どころになりそうですね!
SBR未読の方には「まず第2巻までだけでも読んで!」と強く勧めたいですし、すでに読了済みの方もぜひアニメ放映前に読み返してみてください。